下半身麻痺のミニチュアダックス

 

 

 

 

下半身麻痺のミニチュア・ダツクスの車椅子(歩行補助器具)製作レポート

circle09_green.gif  我が家では、ララ(13歳・雌・ブラックタン)とアド(11歳・雄・茶)という2匹のミニチュア・ダックスフントを飼っていますが、雄のアドは、5歳の時に突然ヘルニアにかかり、即日手術をしましたが、リハビリもむなしく下半身麻痺になってしまいました。

circle09_green.gif ミニチュア・ダックスフントは、その体型からヘルニアになる確立が高いそうですが、近所の公園でも、時々下半身麻痺になった犬の話を聞くことがあります。この様な可哀想な犬たちと飼い主の参考になればと思い、車椅子製作レポートを綴ります。なお、このページを見て、自分で車椅子の製作を考えている方・また何か情報を持っている方は、ぜひ掲示板に書き込み及びメールをお願いします。

circle09_green.gif アドは、下半身麻痺となった時から現在まで、約6年間、後ろ足で立つこともできず、家の中では、前足だけで這い回る生活をしていますが、当初は、散歩に連れて行くのに、タオルや帯状のひもを腹の下に回し、後ろ足を吊り上げて歩かせていました。

circle09_green.gif ただ、この方法だと、犬も自由がきかないし、飼い主も非常に疲れます。 何か良い方法がないか捜したところ、犬用の車椅子が販売されていることがわかりましたが、価格も高いし(確か当時10万円くらいだった)、鉄製の重い物で、デザインも良くありませんでした。

circle09_green.gif 犬用の車椅子のカタログを見たところ、「犬の体をどの様に支えているのか」構造が分かったため、自分で製作してみることにしました。

circle09_green.gif ホームセンターで手に入るアルミ材・ビス・ナット類と、厚手のナイロン生地、ウレタンクッション材、自転車のブラスチック製補助輪が主な使用材料ですが、アドの体を採寸し、重量が軽く、前足に体重がかかりすぎないようバランスに配慮し、簡単な図面を描いて製作に取り掛かりました。

circle09_green.gif それでは、「車椅子とはどの様な物か」写真を交えて紹介して行きます。

アドに車椅子を装着した状態です。草の上なのでわかりにくいですが、大きめのタイヤを使用しているため、多少の段差や、荒れた路面でも元気に歩き回ることができます。

毎日使用しているので汚れていますが、車椅子の全体写真です。当初は、子供用自転車の補助輪を使用していましたが、友人の好意で、特注のタイヤをいただき、それに変更しています。

数回の改良を重ねながら、もう6年ほど使用していますが、故障は、磨耗によるシャフト折れ2回、金属疲労によるアルミ材折れ1回だけで、思ったよりずっと丈夫です。

斜め後ろからの写真です。後ろの丸い部分は、段差の時に後ろを持ち上げてあげるための取っ手にもなります

ナイロンの布を帯状に縫い、裏にマジックファスナーを付けてあります。

インターネットで捜した市販の車椅子です。

ある程度大きなホームセンターで売っているアルミ部材を加工し製作しました。

 

自画自賛ですが、上の写真の市販車椅子と比較し、構造が簡単で、軽量スマートだと思いませんか?

アドは車椅子にもすぐ慣れ、Uターンやバックなどもこなし、草の上でも自由に走り回っています。また、かなりの上り坂下り坂やちょっとした段差もOKです。

約6年間使用していますが、前足にも特に問題は出ていません。ただ、肩の筋肉はすごく発達しました。

 

 

車輪の外側も、ツバの付いた配管用プラスチック部材を使用して止めてあります。

タイヤの外側の黒いゴムは、交換可能ですが、殆どすり減っていません。(以前使用していた自転車用補助輪は、タイヤの溝が無くなるほどすり減りました)

段差や路面のデコボコを乗り越えるためには、小さなタイヤではなく、ある程度大きなタイヤが必要です。

 

車輪の取り付けに一番苦労しました。以前は違う方法でタイヤを止めていましたが、ガタが出て車軸が磨耗しやすいため、現在はプラスチック部材で、タイヤを挟み込む方式に変更してあります。出来るならベアリングも付けたいのですが、適当なベアリングがなく、諦めています。

 

タイヤの取り付け部の写真です。全てアルミ材を使用しているので、軽量に仕上がっています。

ナイロン部分は、6年間の使用にもかかわらず、破けることもなくとても丈夫です。

 

長年の使用で、ナイロン部分が汚れていますが、実は、パラグライダーで使用していた古いハーネスを解体して、ナイロンベルトや布を流用してあります。

ララとアド2匹の散歩模様です。

車椅子の車輪の幅は、広いほど安定すると思いますが、犬は塀に沿って歩く事も多く、車輪を障害物に引っかける事も多いので、肩幅よりやや広いくらいにしてあります。

 

写真の文字がかすれていますが、半円形の部分は、アルミ板材を手曲げ加工し、前の部分にはウレタンクッション材を巻いた後に、ナイロンの布でカバーしてあります。

黒いため表情がよく分かりませんが、ララは13歳になりました。耳のあたりの毛も白髪になり、視力・聴力とも悪くなってきました。

筋肉も細り、足腰も弱くなってきましたが、食欲だけは旺盛なので、まだ暫くは頑張って生きて行けると思います。

車椅子装着後の後ろからの写真ですが、腿で体重を支え、後ろ脚が下に着かないようベルトと紐で吊り下げています。

ピントが合っていませんが、

車椅子でも元気に走れるんです。

半円形に加工した後ろの部材は、尻尾を支える役にも立っています。

公園でも自由に散歩を楽しんでいます。

あまり有り難くないですが、公園での注目度は抜群です。

 circle09_green.gif 車椅子の細かい部分は、なかなか伝えきれませんが、車椅子の使用で、アドも自由に走り回ることが出来満足しているようです。また、磨耗などによる部品の破損や改造も、簡単に対応でき、自作ならでのメリットがあります。

circle09_green.gif アドは、手術後も、前足で体を引きずりながら懸命に歩いていたので、すぐに車椅子に馴染みましたが、下半身麻痺で歩く意欲をなくしてしまった犬の場合、他のホームページを見ると、車椅子の使用が難しい場合もあるようです。

circle09_green.gif 基本構造は、アルミ材を金ノコでカット・ヤスリ掛けして整形した後にドリルで穴を開けてのビス止め方式ですが、ステンレスビス・ナットを使用しているため、サビも出ていません。また、スプリングワッシャを使用しているため、心配していたネジの緩みも殆ど皆無です。

circle09_green.gif 中型犬以上の場合は、より強度のある部材を選択する必要があるかも知れませんが、アルミ部材もかなりの種類がありますので、対応可能だと思います。

circle09_green.gif ショックを吸収するためのサスペンションの取り付けや、前述のペアリング取り付けなども出来そうですが、怠けて改造には手をつけていません。何か良いアイデアをお持ちの方、ぜひ情報提供をお願いします。

circle09_green.gif 最後に、ご連絡いただければ、犬用車椅子製作についてのアドバイスもできると思います。もし、あなたのぺットがアドと同じ状況ならば、車椅子を作り、もう一度自分の力で思いっきり散歩させてあげて下さい。

 2002.4.13 アドの車椅子を改良しました そのレポートは→