犬用車椅子(フウちゃんの車椅子)2004年12月

・2004.10.27 九州のIさんから次のようなメールをいただきました。

・交通事故で倒れていた犬を拾いまして病院に連れて行き、手術してもらったのですが脊髄を損傷しており、下半身麻痺になってしまいました。
そんな状態なので自分で飼うことに決めたのですが寝たきりではとても可愛そうでなりません。
仕事があるので夜しか相手にしてあげられずタオルで吊るして歩かせるのがやっとです。
一時の感情で助けてしまい、逆に残酷なことをしてしまったのではないかとさえ思いましたが車椅子を検索したところHiroさんのページを見つけ、とても希望がわきました。

・その後、何回かメール交換した後で、フウちゃんの車椅子を作ることになりましたが、Iさんの家はとても遠いので、フウちゃんの体のサイズを測ってもらって製作に取りかかりました。(事故に合ったフウちゃんには気の毒ですが、心優しいIさんに助けられて本当に良かったです。)

☆コンセプト

1.フレーム

 ・強度確保のため太目の塩ビパイプを使用し、塗装またはカッティングシート仕上げとする。

 ・転倒防止のため車輪の間隔を広く取る(フレームの台形化で対応)

 ・車軸間はフットボックス用にフレームを加工する

 ・肩当ては塩ビパイプを加工し、発泡ゴムパイプをクッション材に使用する。

・脱着を容易にするため、肩当てを開閉式に加工する 

・フットボックスを取り付ける

・リハビリのためにフットボックスは取り外し可能な構造とする

・フットボックスを取り外した後に使用するレッグベルトも取り付け可能とする(フック式)

・斜めの補強には、アルミ材をU字に曲げてコネクター代わりに使用する

2.車輪

 ・直径20.5cmの車輪を使用

 ・車軸には直径12mmのベアリングを組み込む

 ・車軸は6mmボルトを使用

3,ハーネス

 ・発泡ゴムのレッグリング方式とする(タイラップでフレームに固定)

 ・低重心にするため、ハーネスの支点をなるべく低くする

 ・体が抜けないよう、首輪ハーネスを使用(ベルト長の調整式)

 ・胸ベルト・首輪はワンタッチバックルを使用する

 

☆イメージ図とサイズ

 

※ 当初はフットボックスを取り付ける予定でしたが、途中からフウちゃんの後ろ足に回復の兆しがみられたので、レッグベルト方式に変更しました。

最初に送ってもらったフウちゃんの写真です

直径22mmのプラスチックパイプを熱で曲げ、緑色のカッティングシートを貼ってフレームを作りました。

フレームの一部をカットして車輪を取り付け、各ベルト類を取り付けるところです。

レッグベルトは長さ調節可能で、フックで取り付けるため、簡単に取り外しも出来ます。

レッグサポートとベルト類を取り付けて完成したところです。

安定を高めるために、タイヤをハの字に開きました

肩当てを開いたところです。首輪ベルトもワンタッチバックルで取り外し可能です。

肩当ての開閉はアルミのピンの抜き差しで行います、

仕事をしているIさんは、夜散歩することが多いと思い、LED発光のテールランプを取り付けました

レッグサポートは直径20mmの柔らかい発泡ゴムです。タイラップでフレームに取り付けてあります。

胸ベルトは50mm幅のナイロンベルトで作りました。ワンタッチバックルで開閉します

完成した車椅子ですが、一番前の部分に発泡ゴムチューブで赤いアクセントを入れたら、なんとなくクリスマスカラーになりました。

車椅子を装着したフウちゃんの様子です。写真で見る限りサイズはピッタリです。

 

・車椅子のサイズに問題はないと思いますが、フウちゃんは怖がって歩いてくれませんでした。

・その後もIさんとメール交換していますが、今のところ、まだ車椅子に慣れていないようです。

 もしかしたら、事故の後遺症で怖がっているのかもしれません。

 でも、嬉しいことに少しずつ後ろ足が回復して来ていて、短い時間ならば立つ事ができるようになってきました。

 Iさんは、フウちゃんのリハビリのために、車椅子を使って見ると言ってくれました。

 フウちゃんが慣れるまで、気長に取り組むことになりました。

・ワンちゃんによっては、車椅子に慣れるまで時間がかかる場合がありますので、あせらず見守ってあげてください。

少しずつ歩けるようになってきた、フウちゃんのリハビリ動画→右のアイコンをクリックしてください。  容量を小さくしたので、多少画像が粗くなっています(568KB)

動画を見ていただくと分かりますが、フウちゃんは自力で歩けるようになって来ました。車椅子はあまり役に立たなかったようですが、ホントに良かったです。