犬の車椅子(ラムの車椅子) 2002.4.30

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circle09_orange.gif 2年ほど前になりますが、アドに車椅子をつけて、公園を散歩していたところ、ダックスを連れた女性から「友人のミニチュアシュナウザーが、病気で下半身麻痺になったので、車椅子の作り方を教えてあげてくれないか?」と話しかけられました。

 早速連絡先を教えたところ、シュナウザー「ラムちゃん」の飼い主Yarimizuさんから連絡があり、その後、家に車椅子を見に来ました。デジカメで車椅子の写真を撮って、プリントアウトしてあげましたが、その当時は私も仕事が忙しかったので、他の犬のための車椅子製作までは考えませんでした。

 Yarimizuさんは、知り合いに車椅子の製作を依頼するとのことでしたが、神経の病気で麻痺になったラムちゃんが、車椅子を使用することにより、全く回復しなくなることも心配していました。

 その後は、一度公園でお会いした程度で、連絡も途絶えていましたが、そらちゃんの車椅子が完成した後で、再び公園でお会いしました。Yarimizuさんの話では、「なかなか車椅子を作ってくれる人がいない」とのことで、ラムちゃんを布ベルトで吊り下げて散歩させていました。

 私としては、以前から成り行きが気になっていたこともあり、また、そらちゃんの車椅子で、車椅子の製作のこつを掴んだところだったため、ラムちゃんの車椅子の製作を持ちかけました。

 Yarimizuさんは、2年経過してもラムちゃんの麻痺が回復しないので諦めており、今回の車椅子の製作の話に喜んでくれました。

circle09_orange.gif ミニチュアシュナウザーラムちゃんのサイズは

  • A  お尻から肩(前足のすぐ後ろ)までの長さ    22センチ
  • B 腰の幅         22センチ
  • C 後ろ脚の長さ     30センチ
  • D 肩の幅(身体の幅)   26センチ
  • E 肩の上から地面までの長さ(胴体の高さ)  33センチ
  • F 前足の長さ           22センチ
  • 後ろ脚の付け根の回り  28センチ
  • 胸(胴)回り         55センチ

 ラムちゃんは、運動不足がたたって、かなり太めの体型です。特に、日頃前足で踏ん張るためか、肩幅がかなり広く感じました。

circle09_orange.gif 次に、車椅子の各部の説明とサイズです。

○ 車輪の直径は15センチです

circle09_orange.gif ラムの車椅子の特徴

  1. 下半身を吊るため、ナイロンベルトとアルミ板で、輪を二つ作り、予め体に輪を通しておいて、後で車椅子と合体する。
  2. 車椅子製作後、体に合わせたところ幅が広すぎたため(ラムちゃんの肩幅の広さに惑わされた)、前の肩当てのフレームと後ろ脚を支えるためのアルミフレームを曲げて、前後を絞ったデザインとした。(このデザインが気に入ってます)
  3. フレーム形状の変更
  4. 車軸の取り付けにベアリングを使用する方法は、そらの車椅子と同様です

circle09_orange.gif 今回使用した主な材料

  1. アルミ丸棒 直径10mm
  2. アルミ板  幅25mm厚さ2mm ・ 幅15mm厚さ2mm ・ 幅45mm厚さ3mm
  3. ナイロンベルト及びマジックファスナー  幅30mm ・ 幅50mm
  4. フランジ付きベアリング 軸径10mm
  5. プラスチック車輪 直径15cm軸径10mm
  6. ワンタッチバックル 30mm用
  7. シャフトカラー(車輪留め具) 軸径10mm
  8. M5及びM6ビス・ワッシャ・ナット・袋ナット
  9. 肩当て用ウレタンチューブ
  10. タイラップ
  11. 後ろ脚吊り用金具

circle09_orange.gif それでは、いつものとおり写真にコメントを入れながらご紹介します。

後ろ脚を吊るためのナイロンベルトを取り付ける金具です。鍵穴形状の穴を利用して、車椅子に取り付けます。

腿の形に左の写真の金具を曲げて、ナイロンベルトの輪を取り付けます

左右の二つの輪に後ろ脚を通し、上のマジックファスナー付きベルトで体からはずれないように固定します。

左のナイロンベルトを車椅子に装着したところです。

後ろ脚を止めるナイロンベルトです。マジックファスナーで真ん中の輪を開閉します。

ウレタンパイプの肩当てと胸を止めるベルト・ワンタッチバックル付きです。肩当ての中は、アルミ板が通っています。

完成した車椅子をラムちゃんに着けてもらいました。

試着したところ、車椅子の幅が広すぎたため、急遽フレームを曲げて体に合わせました。

肩当てのアールをきつくして、幅を狭めたため、若干重心が前に寄り、多少肩に重さがかかってしまいました。

公園を散歩したところ、ラムちゃんは歩くことは歩くのですが、すぐに止まってしまいました。

散歩は歩いては止まり、歩いては止まりのくり返しでした。Yarimizuさんの話では、ラムちゃんは、以前胴輪が嫌いだったので、肩当てが気になるのではないかとの意見でした。

車椅子を後ろから見たところですが、やはり重心が前に寄っています。

早速改良する事にしましたが、まず後ろ脚吊り金具を、上の写真より深く曲げました。

車軸を支えているフレームから肩当てまでのフレームを3cmカットし、肩当ての位置を後方に3cmずらしました。

肩当ての芯のアルミ板を9cmカットし、肩当てのアーチを浅くし、重心を後ろに寄せました。

肩当ての幅も狭めたため、車軸を支えるフレームの前後は、アルミ板を曲げ、かなり絞ったデザインになりました。

肩当てに使用したウレタンパイプが余ったので、フレームに巻き、後ろ脚が当たった場合の保護に利用しました

車輪の止め具として、軸径10mmの黒いシャフトカラーを使用しています。シャフトカラーの固定は、イモネジです。

試しにアドに装着してみました。やはり前下がりになってしまいます。

後ろ脚用ナイロンベルトは、予めこの様に体に装着します。

改良した車椅子をラムちゃんに試して貰ったところ、すごく快調で、元気に歩いてくれました。

車椅子を着けたラムちゃんの後ろ姿

肩当てを後ろにずらしたことと、重心の改良が良かったようで、びっくりするほど歩くようになりました。

息を切らしながらも、一生懸命に皆について来ます。

  

公園の芝生でポーズをとってくれました。シルバーの毛色に車椅子のアルミの銀と肩当て・ナイロンベルトの黒がマッチしておしゃれです

  

長期間歩いてなかったせいか、前足がガニ股で足の運びがやけに小股ですが、しだいに慣れてくると同時に筋肉もついてくると思います。

アドも一緒に遊びました。 足が短いので伏せをしている様に見えますが、ちゃんと立っています。

 特別出演です。

circle09_orange.gif 車椅子製作前に、ラムちゃんの体をきちんと計ったのですが、やはり体に合わせてみないと、完全な物になりません。

circle09_orange.gif ラムちゃんは、肩当ての位置を少しずらしただけで、積極的に歩くようになりました。市販の車椅子でも歩かない犬がいるようですが、ちょっとした工夫で歩くようになるかも知れません。胴輪がだめな犬がいるということをはじめて聞きました。

circle09_orange.gif ラムちゃんが自由に歩くのを見て、Yarimizuさんもすごく喜んでくれました。

circle09_orange.gif 犬の車椅子製作についてのお問い合わせは、掲示板かメールでお願いします。

 

circle09_orange.gif ゴールデンウイークに「ラムちゃんと再び散歩」をしましたが、すっかり車椅子になじんでいました。

2004.2.22 久しぶりに近所の公園で、散歩途中のラムちゃんに会いました。

ちょうどデジカメを持っていたので、さっそくラムちゃんの動画を撮影しました。ラムちゃんは7歳になるそうですが、私が車椅子を作ってからもうすぐ2年になります。今ではすっかりラムちゃんの足になっていますが、その車椅子は2年間破損もせず、それほど古くも見ませんでした。きっと大事に使用してくれているのでしょう・・・

ラムちゃんの車椅子は強度に配慮しすぎたため、今考えれば少し重くなっています。(それでもアルミ素材を使用しているので極端に重くはありませんが・・・)ラムちゃんの飼い主のYarimituさんには、「今ならばもっと軽い車椅子を作れますよ・・・」と話しましたところ、もう少し体力が落ちたら是非お願いします(^○^)と笑いながら話してくれました。ラムちゃんが歳をとって体力が落ちてきたら、アドと同じようにアルミ角パイプを使用した丈夫で軽い車椅子を作ってあげたいと考えています。

でも、自分が作った車椅子を使って、元気に散歩している姿をみると本当に嬉しくなりますね・・・↓でラムちゃんの微笑ましい動画を是非見てください。

a_dog_inhouse.gif ラムちゃんのお散歩動画 765KB  a_dog_inhouse.gif ラムちゃんとアドのKiss 1.17MB