インド生まれの「そらちゃん」用車椅子製作レポート Part2
2002.4.6〜7 「そらちゃん」と飼い主のMIHOさんが、車椅子製作のお礼とその状況を見せるために我家を訪問してくれました。
以前製作した車椅子を名古屋へ宅配で発送後、約1週間の使用状況と不具合を、数枚の写真と電話で知らせてもらっていましたが、そらちゃんに車椅子を着けて、実際に公園で散歩をしたところ、完璧な物にするため、更に修正が必要なことが分かりました。
普段「アド」を見慣れている私にとって、そらちゃんは想像していたよりずっと足が長く体もスリムで、やはり体の各部のサイズを聞いただけでは、フィットする車椅子を作れないものだと痛感しました。
その具体的な不具合は、
1. 腰の取り付け位置が高く、車輪の幅が狭いため、急なターンをした時など転倒してしまうことがある。
2. 肩幅が狭いため、車椅子の肩当てがフィットしないと同時に、胸ベルトが緩いと、ずれて体が前に出てしまうことがある。
3. 後足の支えの位置が高く、フレームに直接止めているため、重心が高くなると同時に、腿の外側が車椅子のフレームに擦れてしまう。
4. 体が細いため、赤い腹巻きがゆるい。
5. 肩当てのフレームに力がかかるため、固定するためのボルトが緩みやすい。
まず、改善前のそらちゃんの車椅子写真をご覧ください。
このままでも散歩は出来ますが、胴輪をつけて、車椅子に縛り付けてみました。 |
芝生も走れますが、急なターンをすると転倒することがありました。
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「そらちゃん」と「アド」は、車椅子を連ねて楽しく遊びました |
そらちゃんの凛々しい車椅子姿です |
車椅子のサイズは若干大きいですが、微調整で済みそうです |
ピンぼけですが、そらちゃんは軽々と走ってくれました |
車椅子の改善内容
車椅子の不具合を、4/6の夜と4/7で次のように改善しました。
1. 腰の取り付け位置を、後足がフレームに干渉しない位置まで下げる(限度4cm)
2. 安定性確保のため、いろいろな障害物にぶつけない程度に車輪の幅を広げる(片側3cm)
3. 後足の取り付け方法を変更し、位置を下げると同時に、腿がフレームに擦れないようアドの車椅子と同じように、二本の後足をくっつけた形で固定する。
4. 体の幅に合わせて肩当ての幅を狭くすると同時に、体が前に抜けないよう胸ベルトだけで固定するのではなく、そらちゃんに胴輪を着け、車椅子と合体する。
5. 赤い腹巻きを詰め、マジックファスナーの位置を変更する。
6. 肩当てを固定しているボルト・ナットを、緩み止め付きナットに変更するとともに、ダブルナット形式にしてナットをロックし絶対緩まないようにする。
7. 車椅子のフレームが、体と擦れる部分にクッション材を取り付ける。
それでは、車椅子のそれぞれの改善策について、写真で説明します。
赤い腹巻きを車椅子に取り付ける部分のアップです。鍵穴のような形状のため、ワンタッチで引っかける事が出来ますが、取り付け位置を4cm下に変更しました。 |
車軸を長いものに交換し、片側で3cm幅を広げました。車輪の内側にはブラスチックの配管用スリーブ管をスペーサー代わりに取り付けました |
後ろ脚を吊るためのベルトのアップです。最初のベルトは上の二つのリングですが、その下に長いベルトと脚を束ねるリングを取り付けました。全てマジックファスナーで開閉することができます |
フレームが脚に触れる部分に、ウレタンのクッション材を取り付け、上から自転車用の糊付きウレタンバーテープを巻きました。 |
後ろ脚は、二通りの吊り下げ方法が取れるようにしてあります。 |
そらちゃんの胴輪と車椅子は、ワンタッチバックルで留める事が出来ます |
肩当ての後ろのフレームにも、体の保護のため、黒いウレタンパイプを取り付けました |
バーテープを巻いたのですが、見た目はあまり良くありません。そらちゃんにキズをつけないために万全の対策を取りました。 |
改良後の車椅子です。ポシェットを取り付けた斜めのフレームも、短くカットしたので、若干すっきりしました。 |
胸のベルトもワンタッチバックルに変更しました。 |
4/7の夕方、改良した車椅子を早速試してもらいました |
「MIHOさん」と「そらちゃん」のツーショットです |
改良の効果は抜群で、安定もバッチリでした |
夕方の公園で記念写真を撮りました |
体にピッタリフィットしています。後ろ脚の反射テープが光ってます。 |
薄暗くなった公園で、遊び友達を追いかけて走る「そらちゃん」 |
公園の芝生を思う存分走り回りました |
軽快に歩いています |
車輪の幅を広げ、重心を下げたためにすごく安定がよくなりました。
上の写真のように、デコボコの芝生を他の犬を全力で追いかけ、斜面で急なターンをしても転倒することが殆どなくなりました。(通常の使用であれば、転倒することは皆無です。)
MIHOさんと友人のHIROSEさんも、車椅子の完成度の高さに感激し、すごく喜んでくれました。(HIROSEさんが最強の車椅子と評価してくれました)
下半身麻痺のそらちゃんにとって、全力で走り回ることは、生まれてはじめての経験だと思いますが、生後9ヶ月の元気パワーはさすがでした。
若いそらちゃんにとって、これから長い車椅子生活が始まりますが、いつまでも元気で走り回って貰いたいと思います。(もし故障してもすぐに修理してあげますよ)
そらちゃんの車椅子のパワーアップ→はここをクリック