2005.3.24 犬用車椅子(ラッピー君の歩行器)

HPで犬用車椅子のモニターを応募したところ、20050.2.24に軽井沢在住のシェルティ、ラッピー君の飼い主さんから、車椅子についての問い合わせをいただきました。

ラッピー君は13歳のシェルティーですが、2月20日頃より後ろ足が立てなくなり、診断の結果変形性脊椎症・関節炎との事で、薬物療法後、効果がなければ手術を勧められているそうですが、飼い主さんはラッピー君が高齢なので躊躇しているとのことでした。

そして、何とか手術をしないで再度歩かせてあげたいと思いモニターに応募してくれました。

ラッピー君の車椅子製作にあたって、当初は通常の2輪タイプを製作する予定でしたが、飼い主さんとメール交換をするうちに前足も少し弱くなっていて、後ろ足を支えて歩かせていても、前足で支えきれず転倒することがあるということが分かりました。

そこで、今回は前足の補助にもなる4輪の歩行器を製作することにしました。

今回もプラスチックフレームで製作しました

装着を楽にするため、肩当は開閉式で、体を支えるために胸ベルトを2本取り付けました

前輪(直径13cm)は、前足を動かす時にじゃまにならないよう開いています。前後のタイヤには全てベアリングを組み込んでいるので、タイヤがすごく軽く回転します。(玄関や駐車場のちょっとした傾斜でも歩行器が勝手に動いていってしまうくらいです)

肩当の開閉は、写真のアルミのピンを抜いて行います。ベルト類は全て丈夫で汚れても洗えばすぐ綺麗になるナイロン製です。

ラッピー君に試乗してもらったところです。今回は完成する前に仮組みして体にあわせてから再調整することにしました。しかしラッピー君は可愛い顔をしてますね〜

サイズはほぼぴったりで、ラッピー君は最初から歩いてくれましたが、後ろに下がってしまうことがあるとのことでした。

後ろ足はナイロンベルトで行儀良くそろえて吊っています。ベルトの長さはバックルで調整できます。

歩行器を送り返してもらってから、バランスを良くして後ろに下がらないよう、レッグリングの位置を前に出すとともに、レッグリングの位置を2cm程度高くして、ほんの少し前傾になるようにフレームを調整しました。

レッグリングを前に取り付けたため、その分フレームを伸ばし、肩当が前に出るように調整しています。フレームには、黄色のカッティングシートを貼って仕上げました。

後輪は直径30cmのタイヤを使用しています。また、レッグリングは直径20mmの柔らかい発泡ゴムを使用しました。

安定を増すため、後輪も少しハの字に開いています。フレームの上部は直径22mm下の部分は直径18mmのパイプを使用しています。

肩当を開いたところです。胸ベルトもワンタッチバックル付きです。

ほんの少し前傾にしたことが効果的で、ラッピー君は試乗の時以上にちゃんと歩いてくれました。

軽井沢は、まだ雪があるので外には出られませんが、雪が融けるまで室内でリハビリするそうです。

仮組みの試乗のときより、ほんの少し前傾になっているのが分かりますか?

・ラッピー君の歩行器は、前足が体を支えきれず体が傾いた時に、歩行器が支えてくれるよう、前輪をキャスター式にしませんでした。歩く方向は飼い主さんがサポートすることになります。

・プラスチックフレームは弾力があるため、強く力を加えると多少フレームがよじれますが、体重10kgのラッピー君を支えるには十分の強度があります。また、鉄のフレームと比較するとずっと軽量です。

・大型の後輪を使用しましたので、ジャリ道や草の上なども楽に歩くことができるはずです。積もっている雪が融けて外を散歩するのが楽しみですね。

・ラッピー君は歩けなくなったことでストレスがたまっていたようですが、歩行器を使用して歩くことで、きっとストレスも解消されることでしょう。

・リバビリで前足の筋力がついたら、前輪を取り付けているフレームを根元から切断して、2輪の歩行器に改造することもできます。

・飼い主さんも喜んでくれて、私も嬉しくなりました。モニターに応募していただき、どうもありがとうございました。

今回は、飼い主さんの採寸が正確だったので、体にピッタリの歩行器を作ることができました。下の写真に歩行器のサイズを表示しましたが、修正したため最終的には若干サイズが異なっています。

ラッピー君はまだ13歳なので、リハビリを続ければ、まだまだ元気に頑張ってくれると思います。(春になってからの散歩が待ち遠しいです)